- City & Transport
MR Navigation System for Library
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所

About
国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間社会拡張研究部門 拡張体験デザイン協会(以下、DAAX)が開発するVR体験シミュレーションシステム「Xperigrapher」との連携を前提とした、Apple Vision Proを用いて図書館内を回遊するMRナビゲーション体験を開発しました。
本プロジェクトは、2025年11月に静岡県袋井市立図書館にて開催されたイベントにおいて、来館者がApple Vision Proを装着し、空間上に表示されるナビゲーションや音声に沿って館内を巡りながら、クリスマスシーズンに合わせてセレクトされた書籍と出会う体験を提供するものです。
研究用途としての拡張性と、体験者が広く楽しめる体験の品質を両立させ、空間コンピューティング技術が拓く「未来の図書館体験」の実証実験に対して技術提供を行いました。
Execution
1. 外部システムと連携する「アプリ内サーバー」の構築
DAAX独自開発のシステム「Xperigrapher」から出力される設定データや素材を、Unityアプリ側で読み込み・生成する独自のコンフィグサーバー(アプリ内サーバー)構造を設計・開発しました。これにより、アプリの再ビルドを行うことなく、ルート変更、コンテンツ配置、リソースファイルの差し替えなどが反映可能になりました。
この仕組みによりデザイナーの作業範囲が拡大し、エンジニアとのさらなるコラボレーションや短期間でのイテレーションを実現しています。この仕組みはMESONが保有する「GAUGUIN」パッケージ内で実装を行っており、MESON・DAAX両者の開発資産として再利用可能なものです。
2. 公共空間における高精度な位置合わせとオクルージョン処理
広域な図書館内を移動する際の自己位置推定のズレを解消するため、要所に補正用マーカーを配置し、体験を阻害しない自然なUXで位置合わせを補正する仕組みを導入しました。また、館内の柱や階段などの物理環境を考慮したオクルージョン(遮蔽)処理を施し、デジタルコンテンツが現実空間に実在するかのような高い没入感を提供しました。
体験の演出として館内には雪が降っており、クリスマスツリーやサンタクロースといった季節に合わせたモチーフの3D演出を館内の各所に配置しました。精度の高い位置合わせとオクルージョン処理が、これらの3Dオブジェクトが実空間に馴染む体験を支えています。
3. 誰にでも分かりやすく楽しめる空間UI/UXデザイン
初めてMRデバイスに触れる方々でも迷わず体験できるよう、視線誘導を考慮したスタートボタンの配置や、平易なチュートリアルを実装。アテンドサポートなどのオペレーション面も含め、一般来館者が行き交う運用環境下において、安全かつ直感的に楽しめるナビゲーション体験をデザインしました。
ナビゲーションのルートは、図書館の分類体系を横断し「クリスマス」というテーマで書籍をつなぐ設計になっています。司書の方が選書・執筆した紹介文をもとにしたナレーションが各書棚で再生され、体験者は目的の本に向かって歩きながら内容の予告を受け取る構造になっています。行動ログの分析からは、設計したナビゲーションルート通りに体験者が移動していたことが確認されており、空間UIの誘導設計が意図通りに機能したことが示唆されました。
Credit
- Producer
- Yuki Kobayashi
- Director
- Norihiro Yamamoto
- Designer
- Yuji Higashida
- Engineer
- Tsuyoshi Takano, Kazuya Hiruma
- Narration
- Haruka Kumagai